
各地の地方裁判所では住宅ローンが延滞7回で事故扱いになった担保物権を差押さえて競 売しています。これが現在裁判所によって行われている不動産競売の殆どです。抵当権の実行としての競売です。強制競売物件は少ないです。
この手引きは競売に参加して不動産を買いたい人のために、不動産の買受け手続きの概要を説明したものです。言葉の意味については別に「用語の説明」を用意していますから、ご要望があればご送付します。

競売のなかでも最も多く利用されている期間入札の方法について説明します。期間入札は、裁判所が通常1週間の範囲で入札期間を定め、その期間内に入札を受け付けて、開札期日に開札をして、最高価買受人を定める方法です。この期間入札で売却される不動産については、入札期間が始まる日の2週間前までに各裁判所の掲示場に公告(物件目録付き)が掲示されます。また、不動産所在地の市・区役所、町村役場の掲示場にも同様の掲示がされています。
公告には、売却される不動産の明細、入札期間、開札期日、場所、不動産の最低売却価額、保証金の額や提供方法等、売却についての重要な事項が記載されています。買受けを希望される人は先ずこの公告を見て自分の買いたい不動産を選んでください。別に、新聞や住宅情報誌等にも不動産競売の広告が出ています。探す方法は場所と価格で探します。とんでもない場所のとんでもない価格の物件を選んでも無駄です。
ご連絡をいただければ、裁判所から「不動産競売物件の概要」を取り寄せてお送りします。ご連絡のときは、必ず開札日を云ってください。勿論裁判所の名前は落とせませんね。

買いたいと思う不動産が見つかりましたら、次に、その不動産について調査することになります。調査のお手伝いをします。皆様のために裁判所では、物件明細書、現況調査報告書、評価書という三つの書類(3点セット)の写しを入札期間が始まる日の3週間前までに備え置き、誰でも見ることができるようにしてあります。大勢の人が押しかけてきていますから、ゆっくり見ることができませんから、1000円ほどかけてコピーを取ってからゆっくり調査します。ご希望があればコピーを取ってさしあげます。
には、
その不動産を買い受けたときに、買い受けた人が引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか、土地か建物だけを買い受けたときに建物のために地上権が成立するかどうかなど裁判官の判断が記載されています。
には、
土地の現況、地目、建物の種類、構造等不動産の現況のほかに、不動産を占有・占拠している者の氏名や占有・占拠の権原の有無が詳細に調査されています。それには執行官の意見が記載されています。
には、
不動産の評価額、建築基準法上の諸問題、生活の利便性、都市施設等価格査定上の参考データ、周囲の環境の概要などが記載されており、不動産の外部、内部の写真および物件の公図、地積測量図、案内図などが添付され現況調査報告書と併せて不動産の全容を示しています。ただし、書類の作成日から相当な日数が経っている場合が多いので、物件の現況は自分で現地に行って状態を確認する他、法務局、市役所等で問題のある物件ではないかを調査することが必要です。

(1)入札の方法
入札をする人は執行官室で入札書類を受取り、これに必要事項を記入します。期間入札では、多数の不動産について入札を同時に扱いますから、不動産を取り違えないように開札期日をまず記憶してください。それから事件番号です。入札価格は公告に記載された最低売却価額以上でなければいけません。入札の方法は入札書を執行官室に直接差し出す方法と入札書を執行官室宛てに郵送する方法とがありますが、安全のために、執行官室に直接差し出す方法を選んでください。それは、記入内容に誤りがあったり、書類に不足があったりした場合に、訂正、補充ができるからです。その場合は、必ず印鑑を持参してください。訂正印を押すためです。
(2)保証金の提供
入札書を執行官室に提出するときは、同時に保証金提供の書類も提供します。その額は、通常は不動産の最低売却価額の20%です。保証の金額は公告に記載されています。保証金の提供は、通常次の方法で行われています。
1)執行官室で貰った入札保証金振込証明書と振込依頼書(3連複写式)のうち、振込依頼書に保証金額を記入して近くの銀行から裁判所の預金口座に振り込みます。銀行は領収印のある振込依頼書の第2片を返してくれますから、それを「入札保証金振込証明書」の裏面下に貼って、割り印を押して、「入札保証金振込証明書」の表面に必要事項を記入して、それを入札書と一緒に執行官室に提出します。この場合、振り込まれた金銭が入札期間中に裁判所の預金口座に入金済みにならないと入札は無効ですから、早めに「電信扱い」として振り込んでください。遅れて無効のケースがよくありますから。
2)金融機関との間で支払い保証委託契約を締結してその証明書を提出する方法ですが庶民には無縁の方法です。

入札期間が終って、あらかじめ公告されている開札期日の公告された時間から開札が行われます。開札は裁判所内の売却場で執行官が入札書の入った封筒を開封し終ってから、開札結果を読み上げることで始まりますが、開封開始から読み上げ開始まで相当の時間がかかります。30分以上かかることは度々です。入札した人のうち最も高い価格で入札した人が、「最高価買受申出人」となります。次順位買受申出人の資格があるときはその名前を呼びます。次順位買受申出人として申し出た場合は、保証金は最高価買受申出人が代金を支払うまで返還されませんから聞き流しましょう。その他の入札人には、通常開札日から7日以内に保証金の返還があります。裁判所から直接入札人の口座に振り込まれます。

(1)売却の許可の決定
最高価買受申出人が決まると、「売却決定期日」が開かれて、最高価買受申出人に不動産を売却してよいかどうかを、裁判所が決定します。最高価買受申出人に不動産を買い受ける資格があれば売却が許可されて、最高価買受申出人は「買受人」となります。
(2)代金の納付
最高価買受申出人に売却を許可する裁判所の決定があって1週間の間に所有者・債務者・占有者等利害関係者から異議がなければ売却許可決定は確定します。裁判所は確定の日から1ケ月以内の適当な日を残代金(入札金額から保証金を差し引いた額)の納付期限と定めて、買受人に通知します。買受人は定められた期限までに、a.近くの金融機関から裁判所の預金口座に残代金を振り込んで金融機関の領収印のある保管金受入手続添付書(3枚綴りの2枚目)を受取り、それを裁判所の会計課に持参する方法、b.現金を裁判所会計課に持参する方法の二つが普通行われています。
買受人が残代金を納付しないと、不動産を買い受ける資格を失い、提供している保証金の返還が受けられないことになります。そのために入札をするときは、落札後、短期間に残代金の納付ができるように早めの資金準備が必要です。競売のお手伝いをする場合は、お金の準備の有無を最初にお聞きします。手元に無くて、借りてと云う場合は入札をやめましょう。
(3)登記
残代金が納付されると、裁判所は法務局に対して買受人に所有権を移転するように、嘱託します。同時に、前述した「物件明細書」に買受人が引き継がなければならないものとして記載された権利以外の権利の登記を、すべて抹消するように嘱託します。

所有権を取得した買受人は、自ら引き継がなければならない賃借権がある場合などを除き、不動産を占有・占拠している者に対して、引渡しを求めることができます。即ち、占有者・占拠者が任意に引き渡さないときなど、一定の場合には、残代金を納付した日から6ケ月以内に引渡命令の申立てができます。「引渡命令」が確定すれば、それに執行文の付与を受けて、執行官による強制執行で、占有者・占拠者を強制的に立ち退かせることができます。
競売入札のお手伝いで、最も難しい業務は入居者を追い出して家を空にして買受人にお渡しする業務です。弊社は自信をもってスムーズな業務の遂行をお約束します。勿論、買受人もご一緒に行動することが必要です。
平成15年の民法及び民事執行法の改正(平成16年4月1日施行)により短期賃貸借制度が廃止され、これに伴い、明け渡し猶予制度(改正後の民法395条1項)が創設されました。明け渡し猶予制度とは建物について、抵当権設定登記に後れる賃借人が、法の規定により、買受人が代金を納付した日から6ヶ月間、買受人に対し物件の明け渡しが猶予される制度です。
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